昨今増加傾向にあるダクト火災の危険性とは?
東京消防庁からの発表によると東京都内で建物から出火した火災は平成19年から平成28年までの10年間平均で3,135件、減少傾向にある。しかし飲食店舗から出火した火災は10年間平均で300件、平成28年が345件で過去最多となり、増加傾向にある(表1)厨房で起こった火災の約14%はダクト内に延焼を起こしており、ダクト火災も同じく増加傾向にある。(表2)
ダクト火災は消化が難しく建物に延焼を起こす可能性があるため大変危険です。
火災時にダクトの延焼を止める役割を持つファイアヴォリュームシャッタ(FVS)、ファイアダンパ(FD)、火災の消化を行う自動消化装置は、油塵により汚染されることで機能障害を起こします。(図1・2)
ダンパヒューズについては油塵が2g付着した場合油発火からヒューズ破断までの時間が40秒弱から60秒程度へ(120℃ヒューズ)、およそ1.5倍になるという研究結果が報告されている。(表5参照)またFDは油塵がおよそ200μm(0.2mm)堆積すると防火機能に障害をきたすとの研究結果も報告されている。
出典:飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策等検討部会報告書、東京消防庁店舗部分のダクトは共有部分のメインダクトと比較して細い作りとなっている。油塵によりダクトが閉塞(図3)すると風量・風速の低下につながり延焼しやすい状態となり得る。(表6)
油塵の厚みが182μmで
ファイアダンパが固着。
自動消化装置が作動しない。